金澤真一とロス・アルコオリコス Shin-ichi Kanazawa y Los Alcohólicos

ボリビアやアンデスの音楽をこよなく愛する金澤真一率いるフォルクローレ・グループです!名古屋近辺に出没。たまにライブも。フォルクローレのフェスティバルみたいなやつはだいたい出てるぞ!よろしくね!

【エルネスト・カブール先生追悼その2かその3くらい】
思えば、過去に、カブールの悪口を聞くと、まるで自分の悪口を言われてるかのように腹が立っていたこの私(笑、しかしカブール先生の悪口なんてほぼゼロでしたけど)でした。
自分のヒーローを失うのが、こんな喪失感があるとは思わなかったですよ。思い入れが強すぎたんだな。しかしピート・タウンゼント(ザ・フー)も、ミックジャガーもキースリチャードも、ボブディランも、筒井康隆もまだ生きてるし、永遠に生きてる気がしちゃってたんだよな。嗚呼…
そんなわしの永遠のヒーロー、カブール様に、聞けなかったいくつかの問題を振り返って追悼の2つ目か3つ目にしたい
1 カブール先生のチャランゴ教本かき鳴らし無理だよ問題
19歳か20歳のとき、カブールのチャランゴ教本を手に入れて、途中まで進んだんだけど、レッスン4くらいで、いきなり、
「チャカチャカ→それをすごい速く弾く→いきなりカブール先生ばりのかき鳴らし完成」
っていう超無理ゲー(笑)になってて、それマジ無理!
それにしてもカブール先生が、簡単にリズムつけて弾くだけで音圧もパワーも全然違うし、誰にも似てないあの力はなんなんでしょうか。爪がコンドルの爪に違いない。
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2 絶対に曲を知らないと吹けない教則本問題
カブール先生が教則本に凝ってた時代、ケーナやサンポーニャの教本も
出たんだけど、このわしみたいに音楽の素養が全く無い人でも取り組める、非常にわかりやすい独自の楽譜!楽譜っていうか音階が図解で羅列!本当に助かりましたが、音楽やってる人からすると全くこれまた無理ゲー、小節も無ければ、音符の長さもない。まいったか、曲知らないと吹けないぞヤーイヤーイ!
(実際は音楽教育全く受けてない人にも理解できるように工夫してくれたんだと思いますけどね、レコードついてたし)
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3 "vol.1"だけ出て以降出ないアルバム問題
ハイラス時代からそうなんだけど、アルバムタイトルに"vol.1"って書いてあるけど、vol.2以降が出てないんですけど!
逆に大きく"2"って書いてあるけど1がわからないのもあり
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4 "y su conjuto""Charango"的なアルバムタイトル多すぎて収拾つかない問題
これは前にも書きました(笑)もう自分のPC上では年号つけて整理しております 
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5 ギターがMario Gutierrezだと、キーが1音高くなるよ問題
Cueca Larga,Ilusion,Danza Aymaraなどなど、全部キーがF#mとかBmで、明らかに声も高い、やっぱりレコーディングで速くしちゃってるんじゃないかと思われます。ケーナの最高音が物理的に無理な音になってるし。(キーAのケーナ使えばいいんだけど、そうじゃない音になってるぞ)
6 名盤"INSTRUMENTAL"のB面3曲目必ず針が飛ぶ問題
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名盤ですが、B面3曲目の"Taquirari Kolla"のドミンゲスのカッコいいコードソロのとこで、必ず針が飛ぶ問題!お知り合いの方なんてこれを克服するために同じLP5枚も持ってたけど全部針が飛ぶそうな…1枚もらいましたので自分としてはラッキー。
それよりなにより、演者の皆さんは自分のレコード自分で聴かないのか?なぜこのまま放置する?(笑)
他にもいっぱいありますが、もう本人に確かめようもない…本当に無念だカブール先生、それにしてもこういう気楽な感じがまた魅力でもありました。次回は自分の好きなカブールの曲ベストテンみたいなの書くかもしれません。

ぬおー!カブール先生が82歳で亡くなられてしまったとのこと…一度でいいからカブール先生のチャランゴにギターで伴奏付けてみたかったと思い始めてもう30年、遅かったかー!
大学のサークル部室で、ステレオのスピーカー片っぽだけ付けて、カブールと勝手に共演しまくってた日々が懐かしい。そして一昨年これまた日本で勝手にトリビュートコンサートやったのも勿論!
本当にフォルクローレ抜きにしても超独特な音楽家であり、詩人であり、何よりユーモアがあり、本当に大好きな偉人、
そしてどんな安いチャランゴ弾いても一発でカブールの音にしてしまうあの分厚いコンドルの爪、
ウルトラテクニシャンなのに、そんなテクニックをlos alaracos(気取り屋さん)って言っちゃうそのユーモア、チャランゴは質草にも飲み屋じゃぶん殴る武器にもなるっていうパンクなところ
後にも先にも史上最高最強のフォルクロリスタでした。
確実に言えることは、カブール先生がいなかったら、絶対にフォルクローレこんな何十年もやってないし、もしかしたら聴いてもないかもしれない。
フォルクローレ知らない人に伝えるなら、その影響力は、ジャズならマイルス・デイビス、ロックならプレスリーかチャック・ベリーかビートルズ、歌謡曲なら美空ひばりか北島三郎、ええい、なんとたとえていいか分からんわ!
そしてフォルクローレ知ってる人に伝えるなら、少なくともカブールがいなかったら、ハイラスはいくら人気だって言ってもたぶんチャスカスくらい(すみません激失礼)、そしてホセホセロマルセロもルミリャフタもルスデルアンデもユラスもグルーポコカもグルーポアイマラもルパイも、もしかしたらサビア・アンディーナもカルカスですら、たぶん存在しなかったかもしれないのだ〜!
もう今晩は、誰が読んでようと読んでなかろうと、一人こで、Ernesto Cavour追悼動画祭りを開催することに決めた!
ご冥福を!Ernesto Cavour
最初に、一曲なんか選べねえけど、元気なお姿という点では78年グルーポ・ナイラでのカナダ・ケベック州でのライブ、len~o verde
こういう楽器の特性に合わせた超独特な曲作りもカブール先生の才能の一つ!
 

Flor de Caña
わしゃ誰が何と言おうとこのオリジナルが一番好き
っていうかコレ聴かずにケーナで吹く奴が許せん(笑)
https://youtu.be/aP10MxSmUwo 
 


そしてやっぱこの登り坂、ぶっ飛んでる勢い
イリマニのカバーとか聴くと逆にカブール先生の何が凄いか一目瞭然
そしてチューニングがどうのこうのとか超えたパワー!
ついでにこのギターはドミンゲスだと思うけどな
https://youtu.be/oGTgFwoUOIE



カブール先生が希代のメロディメーカーだった証左といえば、この曲、ダンサ・アイマラ!ハイラス時代にも録音してるけど、このルーチョとリカルドメンドーサ(ルパイ)の二重奏の美しさ!ついでにgrupo aymaraのルシアーノも最高だけど
https://youtu.be/XO_0VV-ng0Q?t=1561
 


そしてカブールの素晴らしさは、ユーモアにあふれた歌詞ですよ!特に好きなのはこの「椅子」、我らが木下さんとFernando Jimenezの名演カセットから。


そしてカブール先生の革新といえば、やっぱりこのファブレとドミンゲスとのトリオ、FOLKLORE!この1曲目の"La Pastora"の演奏がなかったら、きっとこういうケーナのロングトーンも無ければ、そもそもこの「カッコいい」フォルクローレ器楽曲も無かったと思います!
https://youtu.be/D49nE8G9mSA

 

そしてそのカッコいいフォルクローレは、Lucho Cavourという類まれなる兄弟を得てこの超名盤に結実するのであったー!
https://youtu.be/n-zTQvz1uLU
 


君たちは知っているか、カブール先生がケーナとチャランゴでクラシックのアルバムを出していたことを!そしてこの混沌としたエネルギーの塊、「剣の舞」!サビアアンディーナとかと違ってユーモアを忘れないのがカブールらしい(すみません失礼)ついでにフレディ・サントス大先生がカブール初共演だと思う(自信なし)
https://youtu.be/fXd85kfcEKo
 

そして名古屋大学フォルクローレ同好会に入会したものは、なぜか全員この曲を演奏することになっている"Sauce Alegre"(動画の題名が間違っているのはYouTube界隈よくあるから気にするな)チャランゴのコードソロ、ケーナのロングトーン、そして楽しい迫力あるリズム、親しみやすさとカブールの音楽が凝縮されたこのバランス、愛聴&愛演されるのは理由があるのだ。しかし変わったメロディだ。https://youtu.be/uoFbLdlU5t4 
 

今日の最後に
Quiruichito, papacito
!Charanguito Boliviano!
Cuando el vaiven de mi mano
no pueda rascar tus cuerdas,
cuando ya inutilmente
quira presonar mis yemas
llevare como recuerdo
el luto en mis diez uñas
(El Quirquincho Cantar / Ernesto Cavour 1940-2022)
キルキンチョ、すばらしい奴
ボリビアのチャランゴ!
おれの手の往復が
おまえの弦をひっかけなくなったとき
指先で押さえようとしても
もう利かなくなったとき
おれは思い出のよすがとして
十本の指に喪章をつけよう
(歌い手キルキンチョ/エルネスト・カブール、高場将美さん訳)

 

11月7日、第7回名古屋フォルクローレ音楽祭で演奏してきたぞー!

曲は大好きなLucho Cavour先生のLa Apacheta (石の祭壇)始め、好きなボリビアのいわゆるネオ・フォルクローレ系を5曲。ネオって言っても今やオールドですけどね。

ギターとボンボと管楽器のトリオで演奏したんだけど、人数少ないとまるで上手な人みたいで恥ずかしかったうえに、トチって止まると目立つし(おい、いっつも止まっとったんかい^_^)、変な緊張しただす。

慣れんことするもんじゃないけど、いかんせんコロナでメンバー集めたり練習するのが大変でした。
でもPAが素晴らしくて、ずいぶん助けられました。

わたくしのギターは、いつもドンシャリサウンド目指してまして、ドンとした低音と、シャリシャリしたソリッドな高音だけ、もう美しい中音域などは全部諦めております!

ヘルマン・リーバスのボリビアギターに、ダダリオのプロアルテ チタニウム ダイナコアセット弦エクストラハード。この弦一度使うとクセになりますよ、ややメタリックな音ですけど。 再生リスト3曲目のpawayから画面右で息子がチャフチャスとパカイ振ってるのが入ってます(笑)親バカですんません。 いやしかしもう丸2年ぶりに人前で演奏させてもらえて、みんなにも何年振りかに会えたし、鳥羽先生矢田さんミゲルさん始め実行委員会の皆さま本当に本当にありがとうございました!

#名古屋フォルクローレ音楽祭 #NFF #folklore #Bolivia #金澤真一とロスアルコリコス

1.La Apacheta 石の祭壇
Lucho Cavour先生が、Los Vicuñasとして来日してくれた時に、わたくしボンボ叩かせていただいてまして、その時至近距離で聴いたルーチョとフレディサントス(ギター)の音が、本当に忘れられず、今回も1曲目に演奏させていただきました。わしらの演奏なんて彼らに遠く及びませんが、思い入れだけなら宇宙一だと思っております!


2.El Jilgero ヒルゲーロ

https://youtu.be/CwgRNqUmZ3w
アルフレッド・ドミンゲス先生作のバイレシート。Domingez, El Gringo y Cavourのトリオで録音してましたね。Jose Josero y Marceloのカバーバージョンが好きなのでそちらを下敷きに演奏しました。

3.Paway 飛べ

https://youtu.be/m9XLMZypUQM
コジャワラのオリジナル曲。この時期、サンポーニャの器楽曲で独特な世界作ってましたね、チャマクタフハニワって曲も大好きです。アウトゥクトゥナとネオフォルクローレを融合させたような佳曲だと思います。転調ぽいイントロとか結構凝ってるんだよな〜 そして画面右側の方で両手にチャフチャとパカイ持ってジャンプしてる4歳児はわたくしの息子じゃーい(笑)英才教育実施中

4.Nostalgia Camba カンバの郷愁

https://youtu.be/vtT7ZrwOTMA
これもLucho Cavour先生の名曲。ルーチョの曲って同じメロディの繰り返しが多いんだけど、でもそのメロディがケーナの特性に合ってて本当に素晴らしいから何度でも聴けるんですよね〜、ChusmaとかCarnaval de San LuisとかCoraje Aymaraとかいい曲ばっかです

5.Los Mineros Volveremos 鉱夫たちの帰還

https://youtu.be/IjakfhPMXjc
Luis Rico先生とCesar Junaro先生の曲。セサルフナロ率いるサビア・ヌエバのレコードが好きで、コード進行もメロディも素晴らしいので演奏しましたが、実際この歌を現地のまた当時の状況もよくしらない日本人が、ただ曲がいいからってんで歌ってていいのかしら、と思いました。が、ミャンマーの情勢とか見ていると、軍事政権の横暴というのは万国普遍のテーマでもあるし、今日的でもあり、悩みましたが歌わさせてもらいました。むしろ、もしもともとその内容にさほど関心がなくても、こういう美しいメロディに引き寄せられて、その歌の内容が心に残るというのは、音楽の力でもあるかもしれません。(自分なんてどっちかというと政治的には右翼的というか保守的な思想なんですけどね…)

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